日本民家園に
行ってきました
開園50周年
緑が広がる別世界
「生田緑地入口」でバスを降りると緑が広がり別世界。丘陵を生かした広大な敷地の中に、かやぶき屋根が初冬の木立に映えていました。
古民家を愛する人達のひたむきな努力で出来た日本民家園には、日本人のふるさとがあります。

日本民家園の歴史
日本民家園は開園50周年を迎えました。
- 昭和30年
- 横浜国立大学学生関口氏が、農家建築調査で川崎市金程の旧伊藤家を見出す
- 昭和35年
- 関口氏と横浜国立大学大岡教授が調査、伊藤家住宅は保存状態が良い県内有数の民家の評価を受ける
- 昭和39年~昭和41年
- 旧伊藤家住宅が移築、復原。川崎市登戸から旧清宮家住宅が移築、復原。初代古江園長と大岡教授は、移築する古民家選定のため、日本各地の古民家を訪ね歩く。五箇山から野原家住宅が移築、復原。
- 昭和42年4月1日
- 伊藤家住宅・清宮家住宅・野原家住宅の3棟で日本民家園開園
- 平成26年
- 入園者数600万人達成
国指定文化財の古民家など8棟を訪ねました
民家の屋根は、その作り方で、寄棟造り・切妻造り・入母屋造りがあり、かぶと造りというのもあります。茅葺屋根の材料は、主にススキです。
1.佐々木家
- 旧所在地:長野県南佐久郡佐久穂町
- 建築年代:享保16年
- 当時の所有者:名主、豪農
- 特徴:来客用の座敷・便所・風呂完備
写真の左側にある入口が来客用風呂、写真の右側が来客用座敷です。
来客用の風呂場に浴槽はなく、行水に使われたそうです。降雪が少ない地方とはいえ、冬はさぞかし寒かったでしょう。

2.江向 家
- 旧所在地:富山県南砺市
- 建築年代:18世紀初期
- 当時の所有者:農家、組頭
- 特徴:五箇山の立派な柱や梁の合掌造り


五箇山まで行かなくても、どっしりした合掌造りの古民家を見ることができました。
囲炉裏の上の大きな棚は、火の粉が上がるのを防いだり、濡れたものを乾かしたりと、さまざまな機能があります。
3.作田家
- 旧所在地:千葉県山武郡九十九里町
- 建築年代:17世紀後期(土間は18世紀後期)
- 当時の所有者:漁家、網元
- 特徴:イワシ漁で栄えた九十九里にあった古民家、広い土間、二棟が軒を連ねているように見える外観


居間の松の木の梁、二つ屋根をつないでいる丸太半割の雨樋(あまどい)は太くて見事でした。
年末近くの12月14日に訪れたため、縁側には、全国の注連飾り(しめかざり)が展示され、地方でそれぞれ個性があることがわかりました。
4.太田家
- 旧所在地:茨城県笠間市
- 建築年代:17世紀後期(土間は18世紀後期)
- 当時の所有者:農家、名主
- 特徴:釜屋と呼ばれる炊事や農作業をした広い土間、土間横の二つある馬屋、家の中にある雨樋(あまどい)
昭和30年代以前は、井戸でなく、用水路の水を汲み上げていたそうです。雨樋が詰まると家の中に雨水が溢れて大変だったと思いました。
テレビのない時代は、部屋の板戸にスクリーンをはって映画を上映したこともありました。

5.北村家
- 旧所在地:神奈川県秦野市
- 建築年代:貞享4年
- 当時の所有者:農家、名主
- 特徴:広間と土間の間の柱にカンナの前の刃物、手斧(チョウナ)で削った跡
柱の先端に墨で貞享四年(建築年代)と理兵衛(大工の棟梁の名)が記されていました。大工が自信を持って建てたことがうかがえます。

園路
古民家をつなぐ園路には、村人達の心のよりどころだった「祠」「道祖神」「馬頭観音」「庚申塔」などがあり、里山を歩いているようでした。


6.工藤家
- 旧所在地:岩手県紫波郡紫波町
- 建築年代:宝暦頃
- 当時の所有者:農家、名主
- 特徴:民家園の中で一番建築面積が広い家、天井がない主屋、囲炉裏、馬小屋(写真)がある曲がり屋
移築するまで天井を張らずに暮らしていたのは、栽培していたタバコの葉の乾燥に邪魔だったからだそうです。馬小屋の様子を見て、南部馬が当時の生活に欠かせなかったことがよくわかりました。

7.伊藤家
- 旧所在地:神奈川県川崎市麻生区
- 建築年代:17世紀末期~18世紀初期
- 当時の所有者:農家(豪農)、名主
- 特徴:神奈川県で最初に重要文化財に指定された日本民家園第一号、シシマドと呼ばれる格子窓
シシマドのシシとは動物のことです。もともとは猪などが入ってくるのを防ぐ意味がありました。
写真の左側奥、腰くらいの高さにある窓が獅子窓です。

8.船越の舞台
- 旧所在地:三重県志摩市
- 建築年代:安政4年
- 特徴:漁村の神社境内にあった歌舞伎舞台
「若」の鬼瓦は、舞台建築に若者組という伝統的青年組織が参加した記念に、作られたものだそうです。秋の晴れた日に、野外の歌舞伎を観賞したいと思いました。

行ってみて…
古民家が地方ごとに配置され、散策しながら見学出来ました。
囲炉裏の火を焚いている古民家もあって、昔にタイムスリップした気分も味わえました。
何棟かの古民家を見たら、気になった家をもう一度じっくり見学するといいと思います。新しい発見があります。
また、3月31日・4月1日のライトアップした古民家・夜桜は見どころだと思います。
戦後の日本は、生活様式が著しく変化しました。しかしながら、日本人は長い間、古民家の暮らしを続け、今日の豊かな時代に到りました。
裕福な名主など村の有力者の家でも、客間以外は畳もない生活ですから、一般庶民の暮らしの貧しさが伝わってきました。
今の暮らしの便利さを実感し、つくづく今の我々は恵まれているなと改めて思いました。
今回、日本民家園のボランテイアガイドさんに、わかりやすく説明していただきました。民家園の植物・鳥の写真も見せていただきました。ありがとうございました。
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