〜私が薦めるこの一冊〜
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ファーブル昆虫記 『昆虫記』
 ファーブル 著 /大岡 信 訳  河出書房新社


 子供たちがまだ幼い頃、寝かしつけるときに、お話をせがまれました。「昔々あるところに・・・」と、何回か話しましたがすぐにネタが尽きてしまいました。そこで、本棚にある本を読むことにしたのですが、子どもたちには難しすぎたり、文の切れ目がわからなくなったりするのです。そんな中で大人気だったのがこの本でした。 しかし、3人の子をいっしょに寝かしつけていたので、ある子は「もっと先を読め」と言うし、別の子は「昨日は先に眠ってしまったから、昨日のところをもう一度読め」と言うし、その日の分を読み始めるまでに毎日ひと悶着が起きました。
 翻訳は朝日新聞の「折々のうた」を書いている方です。身近に見られる虫の話だけを選んで、親切な美しい言葉で書いてあります。自分の目で見て自分の頭で考えたことしか信用しないファーブルと大岡信の合作です。
 最初はセミの話です。「セミが姿をあらわすのは、毎年夏至のころです。熱い太陽にやかれ、通りがかりの人々にふみかためられてかたくなった地面に、ぽっかりと親指が入るくらいの丸い穴があきます。この穴の奥からセミの幼虫は出てくるのです。」と始まります。その後は、コオロギ、カマキリとおなじみの虫の話が続いていきます。
 ファーブルの書いた中身もさることながら、日本語のお手本としてもお薦めいたします。ただ、この本は現在品切れとなっていますので、岩波少年文庫の「ファーブル昆虫記」(大岡 信 編訳)もあわせて紹介します。内容はほぼ同じです。また、図書館等もご利用ください。

推薦者(所属) 冨田輝司 氏 (前神奈川県子ども読書活動推進会議委員)

海底二万里 『海底二万里』
 ジュール・ヴェルヌ 著 /荒川 浩充 訳  東京創元社


 私たちの国は、四方を海に囲まれています。その海は生命の源でありますが、同時に、私たちに多くの恵みをもたらし、私たちの暮らしを支えています。また、古くから海は天とともに未知なるものとして、私たちの知的関心の対象となってきました。私も海のある街に育ちましたので、小さいときから海に親しんできました。海をテーマとした子供向けの本は多くありますが、私は、ジュール・ヴェンヌの「海底二万里」をお勧めします。 
 ネモ船長の潜水艦「ノーチラス号」の乗員の一人になって、世界の海をめぐり海底の様子やそこに棲む様々な生命に触れることができます。 今日、世界には、日本の「しんかい2000」をはじめとする多くの深海調査船があり、お話の世界が現実の世界になっていますが、この本が、多くの子供たちに科学する心、夢と想像力を与えてくれることに変わりはないと思います。

推薦者(所属) 金子皐一 氏 (元生涯学習文化財課長)

かいじゅうたちのいるところ 『かいじゅうたちのいるところ』
 モーリス・センダック 著 /神宮 輝夫 訳  冨山房


 「昔読んだ絵本の中で何を覚えている?」と成人式を前にパーマをかけてきた息子に聞いた。「そうだな、いろいろあるけど、かいじゅうとぐりぐら、それから...」結果は大体予想していた通りだった。そういえば、あのかいじゅうおどりのところで、「チャチャラカチャン」とメロディーを勝手につけて歌ったことを思い出した。そのあと「かいじゅうが笑っているあの顔が《きもかった》」という息子の言葉を初めて聞いて、あの表情がなんともいえず、いいなと思っていた自分には意外だったけれど、ハレの日を前に、さすがにお前のパーマの方が「きもい」とは言えなかった。隣の部屋から「あの足の方が気持ち悪かったわよ」という妻の声が聞こえた。

推薦者(所属) 中山耕造 氏 (神奈川県子ども読書活動推進会議事務局)

泣いた赤鬼 『泣いた赤鬼』  浜田 広介 著    偕成社


 青おには、人間と仲良くなりたいという赤おにの願いをかなえてあげるために、悪者になっただけでなく、家を離れ長い旅に出てしまいます。
 大切な友だちのために、自分ならどこまでしてあげられるのでしょうか。青おにのように友情のためにすべてを捨てることができるでしょうか。
 この物語に触れるたびに、友情の素晴らしさ・美しさを感じるとともに、二度と戻らないかも知れない旅に出た青おにの幸福を祈らずにいられません。
 皆さんもこの物語を通して、友情について考えてみませんか。

推薦者(所属) 杉山繁雄 氏 (厚木市立厚木小学校)

星の王子さま 『星の王子さま』  サン=テグジェペリ 著 / 内藤 濯 訳    岩波書店


 この本は、子ども向けのファンタジーとして楽しめる本でもあり、「おとなは、だれも、はじめは子どもだった。」と冒頭にあるように、子どもの心を忘れてしまった大人に向けた本でもあると思いますので、お子さんと一緒に保護者の方も読んで考えさせられるところがあるのではないでしょうか? 王子が訪れた小惑星で出会うのは、いずれも愚かさを風刺的に表現された大人たちであるし、子どもの心を持ち続けようとする「ぼく」も、王子の話を真剣に聞かなかったりします。 いつになっても、子どもの頃の純真な心を忘れず、大切なものをしっかりと見据えていきたいですね。

推薦者(所属) 野崎裕司 氏 (神奈川県子ども読書活動推進会議事務局)

はらぺこあおむし 『はらぺこあおむし』
 エリック・カール 著 / もり ひさし 訳    偕成社


 思わず「じゃ〜ん」
 本を開いた瞬間から、カラフルですてきな色の世界が広がり、わくわくします。
 あおむし君が、いろいろなものを食べて、成長して、きれいな蝶になるまでのお話ですが、 その食べていくものがさまざま。子どもの好きなお菓子や果物がたくさん出てきます。
 食べた所には、虫食い穴のような穴も開いていますので、きっと子どもたちは、穴に指を入れて楽しむでしょう。でも、あおむし君がお腹をこわしてしまう場面では、「あおむし君、だいじょうぶ?」と心配する子も。自分とあおむし君を重ねあわせて読み進んでいくことでしょう。
 そして、ラスト。大きい本いっぱいに描かれたカラフルな色づかいには何度見ても圧倒されます。そのページをめくる時、きっとあなたは思わず「じゃ〜ん」と言いたくなりますよ。
 読んで楽しい。見て楽しい。穴が開いていてしかけがあって楽しい。いろいろ楽しめる1冊ですよ。

推薦者(所属) 及川圭介 氏 (三浦市教育委員会)

密林 きれいなひょうの話 『密林 ― きれいなひょうの話』
 工藤直子 著 / 和田 誠 絵    銀河社


 猫のようなかわいい顔をしたひょうが主人公。はんてんが自慢のひょうは、ある日、目を覚ますとはんてんがないことに驚く。いえ3枚だけはあった。ひょうは森へはんてんを探しに出かける。
 かえる、わにやまんとひひに会う。「ぼくのはんてん見なかった?」と尋ねるのに、ねだられて、残ったはんてんを一枚ずつやってしまう。
 かわいそうに思ったまんとひひに教えられて、ちょうちょにはんてんになってもらう。気のいいひょうは、密林―きれいなひょうとなり、幸せいっぱいだ。心がぱっと明るくなる本で子どもたちも喜びます。

推薦者(所属) 塩練雪子 氏 (読み聞かせグループ「すずの会」)

とべないホタル 『とべないホタル』   小沢 昭巳 著  ハート出版


 西の空が夕日にそまって、町も田んぼも金色にかがやきだしたころ、ホタルの子どもたちが、いっせいにサナギからかえりました。その中に一匹だけみにくくちぢんだ羽を持つとべないホタルがいました。
 仲間たちは、とべないホタルをばかにしたり、仲間はずれにしたりしませんでした。それどころか、皆とべないホタルのことを思っていたのです。それを知った、とべないホタルは大きな涙をこぼしました。
 この話には、いじめ根絶へ向けての作者の願いが込められています。皆で支え合い共に生きることの尊さ、思いやりや優しさ、勇気を持つことのすばらしさを、子どもたちへそっと語りかけています。
 「君たちは決して一人ぼっちではない。」というメッセージと共に、心いっぱいの感動を子どもたちへ伝えたい。

推薦者(所属)

佐藤正文 氏  (高相津久井教育事務所 社会教育主事)


センスオブワンダー 『センス・オブ・ワンダー』
 レイチェル・カーソン 著 / 上遠恵子 訳  新潮社


 センス・オブ・ワンダー=神秘さや不思議さに目を見はる感性。作者は、世界中の子どもたちに生涯消えることのないセンス・オブ・ワンダーを授けたいと願い、全編にその思いがちりばめられています。
「わたしは、子どもにとっても、どのように子どもを教育すべきか頭を悩ませている親にとっても、「知る」ことは「感じる」ことの半分も重要ではないと固く信じています。」と語りかけます。「消化する能力がまだそなわっていない子どもに、事実をうのみにさせるよりも、むしろ子どもが知りたがるような道を切りひらいてやることのほうがどんなにたいせつであるかわかりません。」読み返し、かみしめるたびに重みを感じる一冊です。

推薦者(所属)

山本俊夫 氏  (小田原市立下中小学校)


ハードル2 『ハードル 2』  吉富多美・青木和雄 著   金の星社


 いじめによる転落事故から主人公麗音が意識を取り戻し、ほっとして読み終えた前作。 その麗音が再び意識を失う場面から始まる続編。怖くて読みたくない気持ちを奮い立たせ、「麗音がんばれ」と心の中で応援しながらページをめくる。現実はお話のように甘くはないということを知らされる物語。
 こんな悲しいことは自分の身近に起きて欲しくないけれど、麗音の心の霧が少しずつ晴れるにしたがって、読んでいる自分の心から、重くどんよりした空気が消え、不思議と読む前よりすっきりと晴れやかな気分が広がる。ここに登場する子どもたちが、一歩一歩大人になっていく姿もすてきだけれど、凝り固まった大人たちが、この出来事をきっかけに軽やかに変わっていく姿が私の目にはとても魅力的に映った。

推薦者(所属) 渡井悦子 氏  (足柄下教育事務所 社会教育主事)

光とともに、自閉症児を抱えて 『光とともに 〜自閉症児を抱えて〜 』1巻〜7巻
 戸部けいこ 著  秋田書店


 もともと、ミセス向けの月刊誌に連載されたコミックです。
 テレビドラマ化されたので、ご覧になった方も多くいらっしゃると思います。
 自閉症について最新の知見に基づいて、わかりやすく誠実に描かれているので、自閉症に対する前向きで正しい理解が得られることうけあいです。
 親子でいっしょに主人公、光くんの成長を見守りませんか?

推薦者(所属)

鈴木義邦 氏 (県生涯学習文化財課)


山古志村のマリと三匹の子犬 『山古志村のマリと三匹の子犬』
 桑原眞二・大野一興 著 / ikko 絵   文藝春秋


 『世の中におきるいろいろなことはたった二種類しかないそうです。ひとつは「どうにもならないこと」もうひとつは「どうにかなること」マリは、その二つについてわたしたちに教えてくれました。』(本文より)
 2004年10月23日。マリは三匹の子犬を出産します。しかし、その日の夕方、大きな地震が村をおそい、一瞬にしてたくさんの家がつぶれてしまいます。おじいさんに生きる勇気をあたえ、そして、救い出されるまでの16日間、マリはだれもいない荒れはてた土地で、生まれたばかりの子どもを守りぬきます。
 命を大切にするという、あたりまえのことを忘れてしまっていませんか? そんなことをあらためて考えさせてくれる、感動の物語です。

推薦者(所属) 纐纈仁志 氏 (真鶴町教育委員会 生涯学習課)

13歳のハローワーク 『13歳のハローワーク』
 村上 龍 著  /  はまの ゆか 絵    幻冬舎


 子どもの頃、「将来の夢は」と聞かれ、たいへん困りました。運動が得意な子は、すんなりとスポーツの選手になる事をあげていましたが、私は運動が苦手だったので、何にするかずいぶんと悩んだことを覚えています。というのも、スポーツの選手以外の仕事についてはほとんどわからなかったからです。今考えると、将来の夢の具体的な姿がわかっていないのだから選べなかった事も無理はなかったのだと思います。
 この「13歳のハローワーク」には、いろいろな「好き」を入り口に514種の職業が紹介されています。まず、紹介されている職業の多さに圧倒されました。そして、子どもの頃に戻った気分で、この本をながめてみると、なんだかわくわくしてきました。もしこの本が子どもの頃にあり出会っていたら、私の人生もきっと今と違ったものになっていたと思います。きっと、「将来の夢は」と聞かれた時に、胸を張って「○○になりたい。」と言っていたのではないでしょうか。今も、時々ぱらぱらとめくりわくわく感を楽しんでいます。

推薦者(所属)

飯塚亮人 氏 (相模原市教育委員会)


おれはティラノサウルスだ 『おれはティラノサウルスだ』
 宮西達也 著     ポプラ社


 弱肉強食の恐竜の世界。恐竜の王者といわれる肉食のティラノサウルスが翼竜プテラノドンの子どもをねらっている。が、火山の噴火がおきてティラノサウルスがけがをしてしまう。「困っている人がいたら助けてあげるのよ。」という母の言葉から、プテラノドンの子どもが健気にティラノサウルスの看病をすることで2頭の心の中に友情が芽生えていく。
 傷が癒えて仲良く友だちになれるかなと思いきや、悲しいかなやはり恐竜の世界。心は通じているのに友だちになれない。そんな切ない気持ちで胸がいっぱいになってしまいました。ティラノサウルスの表情の移り変わりを見るともらい泣きしそうです。
 私たちの世界にもこんな経験した人がいることでしょう。友だちになりたくてもうまくなれない。でも、心が通い合えばきっと友だちになれるはず。そんなことを考えさせてくれた絵本です。
 ティラノサウルスよ、元気を出してがんばれよ!

推薦者(所属)

清水 良 氏  (愛甲教育事務所 社会教育主事)


赤毛のアン 『赤毛のアン』
 ルーシー・モード・モンゴメリー 著 / 掛川 恭子 訳  講談社


 “プリンスエドワード島”−この島へ行き、グリーンゲイブルスに住む素敵な少女アンと出会いたい。『赤毛のアン』を読んだ時、私はいつもそう思います。
 孤児院で暮らしていたアンは、マシューとマリラに引き取られ、美しい自然にあふれるグリーンゲイブルスで成長していきます。アンのことをみっともないと言った年上の婦人に対して面と向かって非難したり、いちご水と間違えてワインを友達に3杯も飲ませて酔わせてしまったり、赤毛を染めようとして緑色の髪にしてしまったり…。アンは次から次へといろいろな事件を引き起こします。そういった事件を通して、アンは人々との心の交流を深め、成長していきます。
 感性豊かで想像力に富むアン。チャーミングで愛らしいアン。赤毛でそばかすだらけのやせっぽちの少女アンのなんと魅力的なこと。そして、アンを優しく見守るマシューとマリラの兄妹もとても素敵です。『赤毛のアン』は、心が温かくなり、元気が出てくる物語で、私の大のお気に入りです。
 皆さんもこの物語を読んだらきっとアンのファンになりますよ。

推薦者(所属)

橋久美子 氏 (高相津久井教育事務所 社会教育主事)


窓ぎわのトットちゃん 『窓ぎわのトットちゃん』   黒柳徹子 著    講談社


 「おたくのお嬢さんがいると、クラス中の迷惑になります。よその学校にお連れください!」
 小学校1年生にして学校を退学になったトットちゃん(黒柳徹子さん)が行くことになった新しい学校は・・・本当の電車が教室になっていて、座席が自由、授業の時間割はなく、好きな学科から自習形式で一人一人が取り組むという今までとはまるっきり違うタイプの学校・・・「トモエ学園」です。
 第二次世界大戦が終わる少し前まで、実際に東京にあった小学校と、そこに本当に通っていた女の子(黒柳さん)のことを書いたこの本は、私が教育に携わるようになった今も時々読み返し、その度に新鮮な感動を与えてくれます。
 好奇心に満ちあふれ、やりたいことがあるともうそれだけで頭がいっぱいで、とにかくやってみる、そんなトットちゃんとその仲間たち。そして、感性豊かな子どもたちをおおらかに見守り、遊びながら大切なことを学ばせてゆく大人たち。
 子どもが読んでも大人が読んでも優しく元気になれるお薦めの一冊です。

推薦者(所属)

大谷京司 氏 (愛甲教育事務所社会教育主事)


スラムダンク勝利学 『スラムダンク勝利学』  辻 秀一 著   集英社インターナショナル


 スポーツに熱くうちこんでいる君へ・・・必見の1冊!
 指導者の教本として人気の著書ですが選手としても必見の価値があると思います。『ただ、がんばるだけでは意味がない! 超ヒットバスケ漫画“スラムダンク”のなかに必勝の秘密があった。スポーツで勝つ、自分の人生に勝つ。スポーツも、人生も、ただガンバルだけでは意味がない。スポーツ心理ドクターが、漫画「スラムダンク」をテキストに、「勝つための心理学」を説く』『スポーツドクターとして子供からプロに至るまで様々な選手と係わりを持つ著者の辻秀一さんが、スポーツ心理学とご自身の考えを交えながら、「勝利学」として理論化』と紹介されています。
 著書には ◇目標達成への鍵は「理解と覚悟だ」 ◇感情のコントロール ◇”するべき事”をする  ◇”今”に生きる! ◇必ず自分に返ってくる ◇仲間の大切さ ◇心のつながり といった内容について説かれてあり、今まさに絶好調の君、壁にぶつかって悩んでいる君に元気、勇気、根気を与えてくれる1冊です!
  なによりもスポーツだけでなく、今を生きる自分、これからの自分に生きる力を与えてくれる「心のミルク」のような気がします。

推薦者(所属)

日極 忠 氏 (県内在住 元中学校教師)


あなたの手のひら 『あなたの手のひら』  星野富弘 著  偕成社


 この本の作者の星野富弘さんは、24歳の時に事故で首の骨を損傷して、手や足が動かなくなってしまいました。しかし、2年半後、わずかに動く口に筆をくわえて文字を書き始めました。また、病室に飾られた花を描き始めました。その後、詩画や自分の気持ちを書いたエッセーや手記などの数多くの作品を発表しています。
 この本には、四季の花の詩画63点と16編のエッセーがあります。季節を感じながら本をゆっくりと読み進めてみてください。新しい発見があるはずです。あなたも詩に込められている作者の気持ちを感じてみてはいかがですか。私は、この本を読み終えた時、とても温かい気持ちになりました。

推薦者(所属)

塩川幸恵 氏 (中教育事務所 社会教育主事)


りんご 『りんご』
 スーザン・バーレイ 著 / 三木 卓 訳   かまくら春秋社


 登山者が野原にすてたりんごのしんから、りんごの木が生まれました。
 野原にひとり生まれたりんごの木は、動物たち(リス・小熊・きつね・ミミズ・モグラ・ねずみ)と友だちになり、やさしいお月様に見守られながら、風や雨に耐えて成長していきます。
 秋になり、りんごの木は、感謝の気持ちを動物たちに届けます。
 赤いりんごは、風に飛ばされて野原の動物たちに届くのです。
 一本のりんごの木を通して、友達の友情・生きることの素晴らしさを語りかけてくれます。
 心温まるストーリーとかわいい挿絵が、私たちをやさしい心にしてくれます。

推薦者(所属)

三宅美子 氏 (足柄上教育事務所 社会教育主事)


あらしのよるに 『あらしのよるに』  木村裕一 著   講談社


 ごうごうとたたきつけてきた。それは「あめ」というより、おそいかかるみずのつぶたちだ。この物語はこのような書き出しから始まる。あらしのよるにぐうぜんに、その二匹は出会ってしまった。ぜったいに出会ってはいけない二匹であった。
 お互いの正体がばれそうでいてばれない展開は、読む者をハラハラドキドキさせる。ひとたびお互いの正体が明らかになれば、その次に何が起こるかはだれにでも想像がつく。しかし、この二匹、アイとカブには友情とも思える心がかよい合う。
 この物語はどうなるのだろうかと、ぜったいにつづきが読みたくなる。
 この物語のシリーズ最後では、「がんばれ メイ!」「がんばれ カブ!」とついついおうえんしたくなってしまう。ぜひシリーズで読んでほしい。

推薦者(所属)

下澤 豊 氏 (南足柄市立岡本小学校)


バッテリー 『バッテリー』  あさのあつこ 著  教育画劇(単行本) 角川文庫(文庫本)


 「バッテリー」その題のとおりに、野球のピッチャーとキャッチャーのお話です。しかし、物語はこの二人の中学生のスポーツ根性ものではありませんでした。自分の好きな野球については、たとえ何があってもやり抜こうとするピッチャーと、そんなピッチャーを認め、自分もそれにふさわしくなろうとするキャッチャー。純粋に野球をやろうとする二人に、家族・勉強・友だち・先輩との関係、そして何より自分との葛藤が起こり、読む人の心を引きつけます。子ども向けの本ですが、実は大人も読め、私が中学生の時、こんな感情を持っていただろうかと入り込んでしまう本です。私が全6巻ある中でまだ、3巻までしか読んでいませんが、最後まで目が離せない「バッテリー」です。スポーツに興味のない人でも、十分あじわえる本です。

推薦者(所属)

山中敏代 氏 (平塚市立豊田小学校)

葉っぱのフレディ 『葉っぱのフレディ−いのちの旅−』  レオ・バスカーリア 著 / みらいなな 訳  童話社


 一年を通して日曜日ごとに年老いた父と一緒に家の周りを散歩しています。変わりゆく季節の中で目に映る景色を見るたびに、この絵本のお話が思い出されます。  大きな木の太い枝に生まれた、葉っぱのフレディのお話です。  春に生まれたフレディが、親友で物知りのダニエルから、いろいろなことを教わります。木の葉っぱであること、めぐりめぐる季節のこと、・・・。楽しい夏があっという間 に過ぎて、秋が来て、緑色の葉っぱたちが一気に紅葉し、それぞれちがう色に色づいていきます。そして、冬。とうとう葉っぱが旅立つときがきます。  ダニエルは、フレディに「いつかは死ぬさ。でも、“いのち”は永遠に生きているのだよ。」と語りかけます。フレディは、自分が生きてきた意味について考えます。「ねえ、ぼくは、生まれてきてよかったのだろうか。」  この本を何度も読むたびに、本の言葉が心に響きます。「生きることはどういうことか」「死とは何か」を考えさせられます。小さい子どもから大人まですべての方にお薦めの一冊です。そのときどきに親子で読み直し、“いのち”や自分の人生について考えるきっかけとなる絵本です。

推薦者(所属)

倉澤良一 氏 (足柄下教育事務所 社会教育主事)